本記事では、エアコンの除湿運転の仕組みについて現役のエアコン設計者が分かりやすく解説していきます。
この記事を読むと
エアコンの除湿運転の仕組みがわかります。
冷房や暖房の仕組みについては下記の記事を参考にしてください。
参考:エアコンの仕組みを現役エンジニアが分かりやすく解説!!~ヒートポンプ編~
除湿運転の仕組み
それでは、具体的に除湿運転とはどのようなものか見ていきたいと思います。
除湿をするということはどういうことか?
梅雨の季節、じめじめして不快になりますよね。
そんな時は除湿器やエアコンで除湿をすることによって部屋の湿度を下げていると思います。
除湿運転では、部屋の空気中に含まれる湿気を水に変えて外に排出しています。
そうすることによって、部屋の湿度が下がり、快適になるのです。
では、除湿運転ではどのようなことをしているのでしょうか?
湿度について
まずは、少しだけ湿度について説明します。
湿度とは、図のような単位体積(1m3)当たりの空気にどれだけの水分が含まれているかの度合いです。
空気の温度によって、含むことができる水分量が変わります。
例えば図のように、30℃では、最大で30.3gの水蒸気を保有できますが、今、そこに17.3gの水蒸気が入っていたとしましょう。
すると、この30℃ときの湿度は、下記の式より、57%です。
17.3g ÷ 30.3g × 100 = 57%
ここで、温度を下げていくと、20℃の時にちょうど保有できる水蒸気量が最大で17.3gとなり、
湿度が100%になります。
さらに温度を下げて10℃になったとき、保有できる水蒸気量の最大が9.4gなので、下の式より、7.9gの水蒸気が水になって結露などのようにして出てきます。
17.3g – 9.4g = 7.9g
湿度の表現方法
湿度の表現方法には2種類あって、「相対湿度」と「絶対湿度」といいます。
先ほどの例で行くと、相対湿度は、30℃のときに57%であったように%で表したものです。
20℃では100%となり、温度が変わると相対湿度が変わります。
対して、絶対湿度は、例で言うと、1m3に含まれる水蒸気量そのものなので、17.3g/m3です。
このまま温度を下げていき、20℃を下回ると保有できる最大量を超えてしまうので、徐々に水蒸気が水になって、空気中から出てくるため絶対湿度が下がっていきます。
部屋の湿度はどうやって下げるの?
湿度のおさらいでピンときた方もいらっしゃると思いますが、空気を冷やして、保有できる水蒸気量のMAXを超えてあげれば、湿気は結露して水となって出てくることになります。
30℃の部屋で湿度100%だったとしたら、1m3当たり、30.3gの水蒸気が含まれていることになるので、20℃まで部屋を冷やすと、下の式のようになり、13gの水が取れることになります。
これで、13gの湿気を除湿できました。
30.3g – 17.3g = 13g
エアコンで部屋の湿度を下げるには?
エアコンで部屋の湿度を下げるためには何をすればいいのかというと、冷房運転です!
冷房運転を行うことで室内機の熱交換器を通り抜ける空気の温度が下がり、
水蒸気が保有できなくなって熱交換器に結露というかたちで水に変わって出てくるのです。
つまり、除湿運転の正体は、冷房だったのです!
しかし、積極的に冷房運転をすると部屋が寒くなってしまいますよね。
梅雨の時期は肌寒い日もありますから、ただ冷やすだけだと不快になってしまいます。
そこで、エアコンは、部屋の温度を検知して、室温と、保有できる水蒸気量のバランスをみながら、目標の湿度になるよう、控えめは冷房運転(=弱冷房)を行っているのです。
これが、エアコンの除湿運転です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
本記事では、除湿運転の正体について、湿度のおさらいを含めて解説しました。
除湿運転は、弱冷房だということが分かっていただけたと思います。
しかし、いくら弱冷房といえど、部屋の温度は下がってしまいます。
そこで開発されたのが、再熱除湿という技術です!
再熱除湿は、部屋を冷やしすぎずに湿気を取ることができる機能です。
次の記事では、もう一つの除湿運転である、この再熱除湿についてまとめましたので、ご参考にしてください。
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