在宅時間の増加により、光熱費が上昇しているご家庭も多いのではないでしょうか。エアコンは家電の電気使用量のうちの多くを占めているため、使用時間の増加は、光熱費の上昇に大きく影響しています。どうすれば効率よくエアコンの電気代を節約できるのか。本記事では、現役のエアコン設計者が5つの節電方法について徹底解説します。
結論
エアコンの電気代を効率よく節約する方法は次の5つです。
本記事の後半では、さらに効率的に電気代を節約する方法もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
- 運転モードごとに温度設定と風向を調整しよう
- 自動運転モードを使おう
- エアコンの負荷を減らそう
- 窓からの輻射熱をおさえよう
- 換気中は設定温度を調整しよう
エアコンの電気使用量の割合ってどれくらいなの?
経産省のデータによると、家庭で消費される電力量のうち、エアコンが占める割合は、次のようになっています。
夏の昼間
在宅世帯における、夏の昼間の電気使用量は、エアコンの割合が58%と、総使用量の半分以上がエアコンによって消費されていることがわかります。
コロナ禍で在宅世帯が増えているため、この統計データは多くの世帯に当てはまるでしょう。
冬の夕方
お部屋の暖房をエアコンで行う世帯では、エアコンの電気使用量の割合は30%とこちらも多くを占めていることがわかります。
このデータからみても、エアコンの電気使用量を抑えることで、効率的にご家庭の電気代を節約できそうですね。
エアコンの節電方法5選
冒頭でも書きましたが、現役のエアコン設計者がおすすめするエアコンの節電方法は次の5つです。
- 運転モードごとに温度設定と風向を調整しよう
- 自動運転モードを使おう
- エアコンの負荷を減らそう
- 窓からの輻射熱をおさえよう
- 換気中は設定温度を調整しよう
1. 運転モードごとに温度設定と風向を調整しよう
運転モードを冷房と暖房に分けて説明していきます。なお、除湿は冷房として考えてください。
冷房
夏の冷房時の設定温度は28℃を目安にしましょう。
電力量は年間で電気 30.24kWh の省エネとなり、約 817円(1kWhあたり27円で計算)が節約できます。
算出条件は、外気温度31℃、2.2kWのエアコンで、冷房の設定温度を27℃から28℃にした場合(使用時間:9時間/日)です。
冷房のときの風向きは、風向板を水平にしてお部屋の上の方から冷やしましょう。
また、エアコンの冷気を扇風機やサーキュレーターで部屋中に循環させることで、体感温度を下げ、いっそう涼しく感じることができます。
夏場の、過度の節電やガマンは、熱中症の原因となりますので注意しましょう。
暖房
冬の暖房時の設定室温は20℃を目安にしましょう。
電力量は年間で53.08kWh の省エネとなり、約 1,433円 が節約できます。
算出条件は、外気温度6℃の時、2.2kWのエアコンで、暖房の設定温度を21℃から20℃にした場合(使用時間:9時間/日)です。
暖房のときの風向きは、風向板を下向きにしてお部屋の下の方から暖めましょう。
また、暖かい空気は天井付近にたまりがちなので、扇風機やサーキュレーターで風を循環させることにより、足もとまで暖かさを広げることができます。
【問題】エアコンの冷房と暖房、どちらの方が消費電力が多いでしょうか?
正解は、暖房です。
エアコンへの負荷は、現在室温と設定温度の温度差が大きいほど増加します。
例えば、夏は気温が30℃の真夏日。室温設定が28℃でしたらその差は2℃です。冬は、気温が5℃だったとします。設定温度が20℃だとしても、その差は15℃であり、夏と冬の差は歴然ですね。
2. 自動運転モードを使おう
自動運転モードは、効率よくお部屋の温度を設定温度に近付けて、その温度に保つための機能です。
省エネ性と快適性を考慮し、各メーカーで制御が作り込まれているので、ぜひ活用しましょう。
3. エアコンの負荷を減らそう
エアコンは室内機と室外機のセットで運転を行います。
どちらかの負荷が大きいと、運転効率が落ちて、ムダに電力を消費してしまいます。
それぞれの負荷を減らすための対策をご紹介します。
室内機の負荷を減らす
- 2週間に1度はフィルターの掃除をする
フィルターの目詰まりによって負荷が大きくなり、エアコンの性能低下の大きな要因となります。
- 市販のフィルターはなるべく使わない
市販のフィルターは、目が細かいものが多く、エアコンにとっては大きな負荷となってしまいます。
室外機の負荷を減らす
- 室外機の周囲をふさがない
特に、室外機の前後を塞いでしまうと、ファンを回転するための負荷が大きくなり、性能低下の要因となります。
- 熱交換器の汚れを落とす
室外機の熱交換器(裏側に見えているフィン)が目詰まりしていると、負荷が大きくなり、性能が低下します。
- 冷房のときは室外機に水をかける
冷房のときは室外機の温度が高くなるため、水をかけて冷やすことによって負荷が減少します。
4. 窓からの輻射熱をおさえよう
窓からの太陽光線・外気熱の侵入は激しく、夏季の場合、熱侵入のおよそ71%が窓からと言われています。
熱侵入を防ぐためには、遮光カーテンのように遮熱効果の高いカーテンを使いましょう。
ただ、日中暗くなるのが気になる方には、遮熱効果の高いレースカーテンがおすすめです。
また、昔からの定番であるすだれや、窓に貼る断熱フィルムなども熱侵入を防ぐ効果がありますので、ご自宅に合った方法を選んでみてください。
5. 換気中は設定温度を調整しよう
ニューノーマルの生活では、換気は欠かせません。
換気中はエアコンを停止するべきかそのまま運転するべきかといえば、答えは、「そのまま運転」するです。エアコンは、始動時の電力消費が大きいく、換気ごとにエアコンを停止すると、ムダに電気を消費してしまいます。
ただし、そのまま運転するとしても、より効率的な方法があります。
そもそも、エアコンは、設定温度と室温の差が大きくなると、早く設定温度に近づけようとするため、出力が上がり、差が小さくなると、低出力で運転します。
そこで、冷房の時は、換気の前に設定温度を+3℃、暖房の時は、換気の前に設定温度を-3℃しておくことによって、換気での熱侵入や熱放出による影響を小さくすることができます。
換気が終わって、5分くらいたったら元の設定温度に戻しましょう。
より効果的な電気代の節約方法
今回ご紹介した省エネ対策は、今ご家庭で使用しているエアコンでできる節電方法ですが、ここでは、2つのさらに効率的に電気代を節約できる方法を紹介します。
- 最新のエアコンに買い替える
- 電力会社を変更する
最新のエアコンに買い替える
メーカーでは、エアコンの製品寿命は10年としており、実際の使用年数の平均は14年です。
最新のエアコンは、省エネ性能が10年前と比較して大きく向上しているため、買い替えをするだけでも、節電対策になります。
買い替えの際は、APF(通年エネルギー消費効率)の数値が大きい機種を選びましょう。
また、日立のしろくまくんXシリーズや、一部の機種では、待機電力をゼロにする機能もあるため、おすすめです。
APFと電気代の関係についてまとめましたので詳しくはこちらからどうぞ。
電力会社を変更する
根本的な話しになりますが、最も効果がある対策は、電気料金が安い電力会社への乗り換えです。
最近は、電気代の高騰により電力会社の選び方で今までよりもさらに年間の電気代が変わってきます。
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