梅雨の時期、洗濯物を部屋干しは必須。ただ、部屋干し後の洗濯物で生乾きの臭いに悩まされている方も多いのでは?生乾きにならないよう、できるだけ早く洗濯物を乾かしたいものです。部屋干しで欠かせないのがエアコンと扇風機ですよね。では、エアコンで洗濯物を乾かすために最適な運転は何なのでしょうか?本記事では、国内大手家電メーカーでエアコンの設計を10年以上担当している著者が解説します。
本記事で分かること
- 部屋干し運転に最適なエアコンの運転が分かります
- 生乾きを防ぐためにはどうしたらよいか
- 除湿のメカニズムはどうなっているのか
結論
結論としては、洗濯物の部屋干しには、『除湿運転』が最適で、除湿運転の中でも、特に『再熱除湿』が効果的です!
乾燥に長い時間をかけると、雑菌が繁殖して生乾きの原因になってしまいます。洗濯物をできるだけ早く乾かすために、エアコンの除湿運転とサーキュレータや扇風機を使い、早く洗濯物を乾かしましょう。
洗濯物が乾く原理とは?
洗濯物の表面には水分がでています。その表面の水分が蒸発すると、洗濯物の内側の水分が表面に出てきて蒸発します。それを繰り返すことで、洗濯物の水分が徐々になくなり、乾燥していきます。
そのため、洗濯物を乾かすために重要なことは、洗濯物から蒸発した水分が洗濯物の周囲にとどまらないようにすることです。
空気には、温度によって含むことができる水蒸気の量が決まっています。蒸発した水分が洗濯物の周囲にとどまると、洗濯物の水分が蒸発しにくくなってしまい乾きにくくなります。
風で周囲の蒸発した水分を飛ばすことで、効率よく洗濯物の水分を蒸発し続けることができるのです。
夏の部屋干しに最適なエアコンの運転とは?
洗濯物を乾かすために、表面の水分を蒸発させるために効果的な方法は、次の3つです。
- 高温の乾いた空気を送る
- 洗濯物の水分の温度を上げる
- 洗濯物周囲の湿気をとる
湿気を取るのであれば、除湿量の多い冷房運転が最も効果があると思いませんか?
でも、実は違います!なぜかというと、冷房と除湿では、機能の目的が違うからです。
まず、冷房運転の目的は、お部屋の温度を下げることです。
目的がお部屋の温度を下げることなので、お部屋の温度が設定温度まで下がると、エアコンは省エネ運転のため、送風運転のようになります。
これを、『サーモオフ』といいます。
冷房運転では、サーモオフすると送風運転のようになるため湿度を取り続けることができません。
また、サーモオフすると、お部屋に湿度が戻る現象が発生します。
これを『湿度戻り』といいます。
冷房運転に対し、除湿運転の目的は何でしょうか?機能の名前の通り除湿運転の目的は、湿度をとることです。
除湿運転は、できるだけサーモオフさせずに常に湿度を取り続けることができるという特徴があります。
除湿運転の種類
除湿運転には、次の2種類の方式があります。
- 弱冷房除湿方式
- 再熱除湿方式
弱冷房除湿は、名前の通り、弱い冷房で少しずつ湿度を取り続ける方式です。
また、できるだけサーモオフしないように弱い風速しか設定できないようになっています。
次に、再熱除湿は、部屋の温度を下げずに除湿をする方式です。
図のように、室内機の熱交換器に、温かい部分と冷たい部分を作り、冷たい部分では除湿を行います。
温かい部分を通り抜けた風は、除湿された冷たい空気と混ざって送風されるため、部屋の温度を下げずに除湿をすることができるのです。
洗濯物が乾きやすい条件は次の3つなので、
- 高温の乾いた空気を送る
- 洗濯物の水分の温度を上げる
- 洗濯物周囲の湿気をとる
冷たくない常温の乾いた空気を送風できるため、洗濯物の水分の温度を上げることができ、洗濯物周辺の湿気がとれる再熱除湿方式の除湿運転が、夏の部屋干しに最も効果的であると言えます。
さらに、サーキュレーターや扇風機を並用することで、より効率的に洗濯物を乾かすことができます。
冷房 | 弱冷房除湿 | 再熱除湿 | |
---|---|---|---|
風の温度 | △ | 〇 | ◎ |
風の強さ | ◎ | △ | ◎ |
部屋の湿度 | ○ 湿度戻り有 | 〇 | ◎ |
継続的な除湿 | △ | ◎ | ◎ |
洗濯物の生乾き臭を防ぐためには!?
洗濯物を部屋干しする際に、最も避けたいのが、生乾き臭ですよね。
生乾き臭は、洗濯物の乾燥に時間がかかった場合に、菌やカビが繁殖することが原因です。
そのため、部屋干しの際は、エアコンの除湿運転を使って早く、効率的に洗濯物を乾かしましょう。
ただし、エアコンで洗濯物を乾燥させる際には、注意すべきことがあります。
それは、エアコン内部の菌やカビを放置していると、その菌やカビが風に乗って洗濯物に付着してしまう恐れがあることです。
エアコン内部の菌やカビを放置していると、その菌やカビが洗濯物に付着してしまう恐れがある
これでは、早く乾かすことができても、生乾き臭を防ぐことはできません。
菌やカビの飛散は、洗濯物だけではなく、健康被害を引き起こす可能性もあります。
エアコン内部の菌やカビの飛散を避けるためには、エアコンを清潔に保つことが重要です。
次の2つを守ることで、エアコンの内部を清潔に保つことができます。
- 冷房・除湿運転後は1時間程度の送風運転でエアコン内部を乾かし、内部カビや菌の繁殖を抑える。
- 年に1回、エアコンクリーニングを行いエアコン内部を清潔に保つ。
まとめ
洗濯物の室内干しには、『再熱除湿』方式の除湿運転が効果的です。
より早く乾燥させるためには、サーキュレーターや扇風機でサポートしましょう。
注意すべきは、カビや菌がエアコンから飛散して洗濯物に付着しないよう、エアコン内部を清潔にしておくこと!
エアコン内部を清潔に保ち、気持ちの良い部屋干しをしましょう!
\ エアコンのカビや菌を除去するために /
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