エアコンからいやな臭いがする!ルーバーに黒い斑点が付いている!フィルターがホコリだらけ!そんな時は自分でエアコンを掃除したいですよね。でもエアコンの掃除方法が分からずにお困りの方も多いと思います。
本記事では、国内大手家電メーカーでエアコンの設計を10年以上担当している著者が自分で簡単にできるエアコンの掃除方法を実践解説します。掃除には市販のエアコン洗浄スプレーと100均アイテムを使用。合計2千円以下で1年間一度も掃除せずに使っているエアコンを掃除しました。
さらに、なぜエアコンが汚れるのかどこが汚れるのかまでエアコンのプロが分かりやすく解説しますのでぜひ自分でエアコン掃除をするときの参考にしてください。
この記事で解決できるお悩み
- エアコンは1年使うとどれくらい汚れるの?
- エアコンを自分で掃除したいけどやり方が分からない。
- エアコンの掃除は自分でどこまでやっていいの?
- エアコンの掃除は自分でできる範囲で十分なの?
エアコンの構造を知ろう
エアコンの掃除をする前にエアコン室内機の構造を簡単にご紹介します。
室内機は、外観に前面パネルと本体カバー、ルーバーがあります。次にホコリの侵入を防ぐためのフィルター、部屋の空気を冷やしたり暖めたりするための熱交換器、部屋の空気を取り込んで吹き出すための送風ファン、風の経路である通風路、熱交換器に結露して流れてきた水を排水するためのドレンパン(前面側と背面側)で構成されています。
- 本体カバー
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本体カバーはエアコンの外観となる部品です。上の格子になっている部分から部屋の空気を取り込みます。
- 前面パネル
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前面パネルは本体カバーと同じようにエアコンの外観となる部品です。
前面パネルが本体カバーと一体になっているモデルもありますが、大抵は別になっていて、パネルを開けるとフィルターを取り外すことができるようになっています。
- ルーバー(上下風向ルーバー)
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ルーバーは吹き出し口に取り付けられていて、上下に動いて風向を変える役割があります。ルーバーは風向の制御を行う部品ですが、外観となる部分でもあります。
- フィルター
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フィルターは、エアコン本体の中にホコリが入らないようにする役割があります。
フィルターがないと熱交換器や送風ファンにホコリが詰まってしまいます。エアコンの中やフィルターがホコリで目詰まりしたままにすると、エアコンの性能が下がってしまいます。さらには、エアコン内部の圧力が不安定になり風の逆流が起こって、冷房のときに熱交換器から水が飛んでエアコンから水が降ったり垂れたりするおそれがあります。
- 送風ファン
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大抵のエアコンには送風ファンとして貫流ファン(クロスフローファン)が採用されています。ファンの断面を見ると三日月の形をしたハネが30枚ほど円周状に並んでいます。ファンが回転すると空気が吸い込み側から入り吹き出し口側から出ていきます。風がファンの中を横切るように流れるため貫流(クロスフロー)ファンと呼ばれています。
貫流ファンは単体だと風が入るところと出るところが定まらないのでケーシングと呼ばれる通風路が必要になります。
- 通風路・ドレンパン(前面側と背面側)
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通風路は、送風ファンの背面側から空気の吹き出し口に向かって構成されていて、送風ファンから空気の吹き出し口に向かって気流を案内します。通風路は、ケーシングとも呼ばれ送風ファンの気流方向を決める役割があります。また、吹き出し口には左右ルーバーが並んでいてリモコンで自動で動くモデルと自分の手で操作するモデルがあります。
ドレンパンは、冷房運転のときに熱交換器に結露して流れてきた水を受ける部分。露受け皿とも呼ばれます。熱交換器は前面側と背面側に分かれているため、ドレンパンも同じように前面側と背面側があります。
- 熱交換器
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熱交換器は、厚み0.1mmのアルミのフィンが約500枚並んでできています。フィンにはパイプが通っていて中に冷媒というガスが流れています。フィンの穴は「立ち上げ」られた形になっていて隣のフィンに接しているので、この立ち上げの高さでフィンの間隔が決まります。
冷房のときは冷たい冷媒が熱交換器全体を冷たくします。逆に、暖房のときは暖かい冷媒が熱交換器全体を暖かくします。部屋から取り込んだ空気を熱交換器に通して再び部屋に戻すことで冷房や暖房を実現しています。
エアコン掃除を自分でできる範囲
自分でエアコン室内機の掃除ができる部分は次の8箇所です。それぞれの部分については「エアコンの構造を知ろう」で解説しています。
- 送風ファン(見える部分)
- 本体カバー(見える部分)
- 吹き出し口
- 左右ルーバー
- フィルター
- 前面パネル
- 上下ルーバー
- 熱交換器(前面側)
エアコン掃除に必要な道具
実際にエアコン掃除で使用した道具と実際に使ってみて感じたメリットとデメリットをご紹介します。
本記事では、安くて手に入りやすいのでエアコンの掃除道具をダイソーで揃えてみました。
代用できるものがあれば同じものじゃなくても大丈夫です!
ダイソーで購入したアイテム
エアコンの隙間をらくらくお掃除
お掃除したところ | ・本体カバー ・前面パネル ・ルーバー ・吹き出し口 |
メリット | ・ドライモップなのでホコリがとりやすい ・通風路の曲面に沿って掃除することができる ・左右風向ルーバーの間隔にピッタリ入る幅 |
デメリット | ・送風ファンのハネの隙間には入らない |
拭き掃除万能シート
お掃除したところ | ・本体カバー ・前面パネル ・ルーバー ・吹き出し口 |
メリット | ・こびりついた汚れを拭き取ることができる |
デメリット | ・ウェットシートなのでホコリなどの細かい汚れは残りやすい |
食洗器・水切りカゴ洗い
お掃除したところ | ・送風ファン |
メリット | ・少しハードめなブラシがファンのハネについた汚れを落とすのにちょうど良い |
デメリット | ・ファンの内側の汚れが取りにくい |
直立ブラシ
お掃除したところ | ・熱交換器 |
メリット | ・ブラシのかたさと長さが熱交換器のフィンの掃除にちょうどいい |
デメリット | ・少し柔らかすぎるので熱交換器の奥まで行ききらない |
エアコン洗浄スプレー(Amazonで購入)
エアコン洗浄スプレー
お掃除したところ | ・熱交換器 |
メリット | ・フィンが折れない程度の噴出力 ・一台で一本使い切るちょうどいい量 |
デメリット | ・本体カバーにあたると洗浄水が跳ね返って飛び散る ・熱交換器の背面側には届かない |
その他必要なもの
エアコンの掃除道具ではありませんが掃除中に必要なものをご紹介します。
マスクやフェイスガード
エアコンの掃除中は常に上を向いている状態になります。エアコンから落ちてくるホコリや汚れ、洗浄液が目や口に入るのを防止するために必要です。
ゴム手袋
熱交換器のフィンは薄いので素手で触ると簡単に切れてしまうため手袋は必須です。軍手でも良いのですが、繊維が熱交換器に引っかかる可能性があるのでゴム手袋をおすすめします。
掃除機
フィルターや床などの掃除に使います。フィルターについた大きなホコリはあらかじめ掃除機で吸っておくとシャワーなどで洗浄するときに効率が良いです。エアコンの掃除ではホコリや汚れのかたまりがエアコンから落ちてくるので、最後に掃除機で床の掃除をしっかり行いましょう。
お風呂場や洗面所などの洗い場
前面パネル、上下風向ルーバー、フィルターを水洗いするために使います。フィルターを水で流すくらいであれば洗面所でも十分です。前面パネルや上下風向ルーバーは大きいのでお風呂場がおすすめ。多くの汚れが流れる可能性があるので排水口にフィルターをつけておくと良いでしょう。
エアコンの掃除手順とポイント
エアコン掃除の手順をご紹介します。本記事では実際にエアコンの掃除を行っていますのでポイントもあわせて解説します。今回掃除を行ったエアコンは新品で使い始めて約1年使用した状態です。フィルターの掃除はこれまでに2回行いましたが、エアコンクリーニングは実施していません。
メーカー | 富士通ゼネラル |
型式 | AS-AH361L |
使用環境 | LDK(12帖) |
使用年数 | 1年1ヶ月 |
使用時間(時間/日) | 約14時間 |
フィルター掃除 | 2回 |
自動おそうじ機能 | なし |
エアコンクリーニング | なし |
1.電源プラグを抜く
漏電を防ぐために電源プラグは抜いておきましょう。コンセントと電源プラグは濡れないように穴をふさいだりくるんだりしておくことをおすすめします。
2.前面パネルをとりはずす
まず、前面パネルの左右の取っ手を持って引き上げてパネルを開きます。左右の上側にパネルを支えている軸があるので、左右それぞれ軸を外側に押しながら手前に引くと前面パネルを取り外すことができます。
前面パネルの取り外しはメーカーやグレードによって違う場合がありますのでエアコンの取扱説明書を見ながら行ってください。取扱説明書は、各メーカーのウェブページでも閲覧することができます。メーカーの取扱説明書検索ページのリンクを貼りますので、お使いの製品の型式を入力し参照してください。
前面パネルの取り外しはメーカーやグレードによって違う場合がありますのでエアコンの取扱説明書を見ながら行ってください。取扱説明書は、各メーカーのウェブページでも閲覧することができます。メーカーの取扱説明書検索ページのリンクを貼りますので、お使いの製品の型式を入力し参照してください。
メーカー | 取扱説明書検索ページ |
---|---|
ダイキン | D-Search 空調製品情報検索サイト |
パナソニック | 取扱説明書検索 |
三菱 | 暮らしと設備の業務支援サイト Win2K |
日立 | エアコン取扱説明書検索 |
富士通ゼネラル | 取扱説明書/据付説明書/仕様書検索 |
今回掃除をしたエアコンは富士通ゼネラルのモデルなので富士通ゼネラルのウェブページから取扱説明書をダウンロードして前面パネルの外しかたを確認して行いました。富士通ゼネラルでは前面パネルの名称が吸込グリルというようです。
前面パネルの汚れ
前面パネルの表面にはほぼ汚れはく、裏面に汚れが目立ちました。汚れがとくにひどいのは左右の溝やひっかけ部分。
また、コバエのような虫が前面パネルの下部にくっついているのが見られました。
3.フィルターをとりはずす
フィルターは左右に付いています。取り外すのは左右どちらからでも良いです。フィルターの取っ手を持ち、ひっかけ部から持ち上げ、手前に引き抜くように外します。取り外しの際にフィルターに積もったホコリが落ちてくる可能性がありますので注意してください。
フィルターの取り外しもメーカーやグレードによって違う場合がありますのでエアコンの取扱説明書を見ながら行ってください。メーカーの取扱説明書検索ページのリンクからお使いの製品の型式を入力し参照してください。
フィルターの汚れ
フィルターの汚れを見てみましょう。上面の吸い込み口側が特にホコリが溜まっているのが分かります。前面側は前面パネルのちょうど裏側になるので、空気の吸込みが少ないためホコリの付着も少ないと考えられます。
4.上下ルーバーを取り外す
エアコンメーカーは上下ルーバーを自分で取り外すことを推奨していないため取扱説明書に取り外し方は載っていませんが、左右ルーバーや通風路、送風ファンを掃除しにくいので取り外します。
上下ルーバーの軸は駆動用のモーターの軸にはまっています。ルーバーを手で勢いよく動かすとモーターが壊れる可能性があるのでルーバーはゆっくり動かしましょう。
まずは中央左の軸を外します。少し上下ルーバーをたわませながら軸を穴から抜きます。中央右の軸も同じように軸を穴から抜いていきます。
次に一番左の軸をエアコン吹き出し口の左側面から抜きます。少し軸が長かったので中央の軸と同じようにルーバーをたわませながら抜きます。
最後に一番右側です。すでに3か所外れているので、横に引くだけで簡単に外すことができます。この軸はルーバーの駆動軸で、モーターにつながっています。また、今回掃除を行った機種ではルーバーの駆動軸の中にバネが入っていました。バネが外れても元に戻せるようにあらかじめ写真を撮っておくことをおすすめします。
ルーバーの汚れ
ルーバーの表側はあまり汚れていませんでしたが内側には軸の周辺に汚れが付いているのが分かります。ホコリではなく黒い斑点のような汚れが目立ちました。
ルーバーは冷房中に冷たくなるため、エアコンを停止した時にくもりやすいです。そのため、その細かな水滴にホコリが付着、カビの養分となりカビが生えやすい部分となっています。
5.送風ファンを掃除する
ルーバーを取り外すと送風ファン、左右ルーバー、吹き出し口が見えます。これらを分解して取り外すのは難しいので、見えている部分を掃除します。
送風ファン・左右ルーバー・吹き出し口の汚れ
自分でエアコン掃除ができる範囲では送風ファンが一番汚れている部分。
送風ファンには多くのホコリやカビが堆積して固まってしまっている状態。左右ルーバーは風を受ける後ろの部分を中心に汚れていて、吹き出し口は全体的に汚れが溜まっています。
送風ファンの掃除
まず、送風ファン先端に付いている固まった汚れは食洗器・水切りカゴ洗いのブラシでこすり落とします。汚れの固まりが降ってくるので目に入らないよう注意してください。
ブラシの毛丈もある程度長いのですが、それでもハネの内側を掃除するのは難しいです。そこで、ブラシの反対側が薄いヘラ状になっているので、ヘラに拭き掃除万能シートを巻いたものを使ってハネの内側を掃除します。
今回掃除したエアコンの送風ファンは10連構成でハネはひとつの連につき30枚以上ありました。内側まで掃除する場合は一枚一枚根気強く掃除するしかないのですが、汚れは三日月形状の先に堆積しやすくなっているため自分で掃除をする場合は先端の汚れだけでも落とせると良いでしょう。
吹き出し口の周辺に落ちた汚れは掃除機で吸い取るか、ブラシで掃いておきましょう。
送風ファンが掃除しにくい理由は、送風ファンのハネの形状と間隔、材質にあります。
1枚のハネを拡大してみてみると三日月のような形状をしていることが分かります。それが1周に30枚以上狭い間隔で並んでいます。ハネとハネの間に真っ直ぐなものを入れた場合、その間隔は2mm~3mm。そのため、平らな掃除道具を差し込んで掃除をしても内側の汚れは残ったままになってしまいます。
また、汚れが取りにくいのでつい力を入れて掃除しがちですが、送風ファンはカーボン繊維を含むプラスチックでできている場合が多く、強い力がかかるとヒビや割れの原因となります。
これらの理由から、送風ファンはとても掃除がしにくいのです。
6.本体カバー・左右ルーバー・吹き出し口を掃除する
本体カバーと左右ルーバー、吹き出し口は「エアコンの隙間をらくらくお掃除」を使って掃除します。
「エアコンの隙間をらくらくお掃除」は、幅が狭くて薄いハンディーモップです。ちょうど左右ルーバーの間に入る幅で、ちょうど送風ファンと通風路の間に入る厚みになっています。また、吹き出し口からエアコンの通風路はカーブしているので、形状に沿ってしなるようになっています。
まずは、本体カバーのホコリを取ってしまいましょう。その後、吹き出し口と左右ルーバーを掃除し、しつこい汚れは「拭き掃除万能シート」で拭き取ります。
左右ルーバーの素材はやわらかいポリプロピレン(PP)というプラスチックでできていることが多いため強く力を入れすぎると変形したり白化したりするのでやさしく掃除をしましょう。
左右ルーバーがすると風向のコントロールがうまくできなくなります。
7.熱交換器を洗浄する
熱交換器のスプレーを使う前に、大きなホコリは掃除機で吸っておきましょう。フィンにさわると簡単に曲がってしまうので注意してください。大きなホコリを取ったらフィン全体を見渡し、目詰まりがあったら「直立ブラシ」で掃き取ります。今回ダイソーで選んだブラシは毛丈が長くてやりやすかったです。
次に、熱交換器をスプレーで洗浄します。洗浄方法はスプレーの説明書に従い、注意事項をよく読んで行ってください。
スプレーが電子部品や基板にかかって濡れてしまうと故障の原因になりますので十分注意しましょう。
洗浄スプレーは、アース製薬の「らくハピ エアコン洗浄スプレー Nextplus 無香性」を使いました。洗浄スプレーは、噴射の勢いが強い、スプレーの洗浄液が熱交換器に残らないようにしっかり流れてくれるものを選ぶと良いでしょう。
「らくハピ エアコン洗浄スプレー Nextplus 無香性」を使った洗浄手順
一台につき一本を使い切ります。
ドレンパンに溜まった洗浄液はドレンホースを伝って外に流れます。
「らくハピ エアコン洗浄スプレー Nextplus」の詳しい使い方動画はこちら
8.フィルター・前面パネル・上下ルーバーを洗浄する
エアコン洗浄スプレーを噴射後10分放置している間に、フィルター、前面パネル、上下ルーバーを水で洗い流します。浴室でシャワーする場合はマットを引くと部品に傷がつきにくいのでオススメです。
フィルターはホコリがたまっていない裏側からシャワーで流すとホコリが落ちやすいです。
前面パネルと上下ルーバーはエアコン正面から見える面が傷つかないようシャワーだけで流せるのがベスト!もしがんこな汚れがある場合はやわらかいスポンジでやさしく落としましょう。
洗浄後は自然乾燥もしくはやわらかい布で拭き取るのがオススメ。ドライヤーを使って乾燥させる方法もありますが、熱でプラスチックが変形してしまうかもしれないので、どうしても早く乾かしたい場合は20センチ程度離して乾かしましょう。
9.フィルターを取り付ける
フィルターを取り付けます。左右にフィルターを取り付けるレールがありますのでそのレールに沿ってフィルターを挿入しましょう。フィルターを本体の奥に突き当たるまで挿入したら、本体前側の穴にフィルターのツメがカチッと鳴るまでしっかりと差し込みます。
フィルターがしっかり取り付けられていないとすき間からホコリが侵入するおそれがありますので確実に取り付けましょう。
フィルターの取り付け方は、エアコンの取り扱い説明書に書いてありますので参照して行ってください。各メーカーのウェブ取説リンクはこちら。
10.ルーバーを取り付ける
今回使用したエアコンの上下ルーバーには、右の軸にバネが入っていました(※バネがないエアコンもあります)。バネが外れてしまった場合は、右の軸(太いほう)にバネを差し込んでおきましょう。バネの一部がちょうど上下ルーバーの溝に入るようになっています。心配な方はあらかじめ取り付け状態の写真を撮っておくと取り外し前の状態を確認しながら作業することができるのでオススメです。
右の軸をルーバーを動かすモーターの軸に差し込みます。このとき、バネを本体のポケットに引っ掛けるのを忘れないようにしましょう。
次に左の軸をルーバーをたわませながら本体の穴に差し込み、最後に中央の左右の軸を外した時と同じようにルーバーをたわませながら穴に差し込みます。
11.前面パネルを取り付ける
前面パネルの向きを水平近くにしたまま両方の軸を穴に差し込みます。ガコッという音が鳴り左右の軸を一度に差し込むことができます。
前面パネルの取り付け方もフィルターと同じようにエアコンの取扱説明書に書いてありますので、参照して取り付けを行ってください。各メーカーのウェブ取説リンクはこちら。
12.電源プラグを差し込み試運転を行う
最後に電源プラグを差し込んで、エアコンがちゃんと動くか動作チェックを行いましょう。夏であれば動作チェックをかねて冷房運転をオススメします。理由は、エアコン洗浄スプレーの液残りを熱交換器の水で洗い流すためです。窓を開けて常に湿度が取れる状態で運転すると水ができやすいです。
これで、掃除は完了です。
エアコン掃除の前後で汚れを比較してみた
掃除の前後でどれほどキレイになったのかを掃除した部分ごとに比較してみましょう。
上下ルーバーの汚れ比較
上下ルーバーは、比較的汚れが少なかったですが、軸のまわりに黒い斑点のような汚れが目立ちました。掃除後はその黒い斑点が完全になくなっています。
フロントパネルの汚れ比較
フロントパネルも比較的汚れは少なかったですが、フロントパネルの裏面はコバエの死骸やホコリで汚れていました。掃除後はそれらが完全になくなりキレイになりました。
フィルターの汚れ比較
掃除前、フィルターには大量のホコリが上面吸い込み側についていましたが、洗浄後は完全にホコリを取り去ることができました。
熱交換器の汚れ比較
掃除する前も熱交換器はあまり汚れていませんでしたが、部分的にフィンの間にホコリが詰まっていました。掃除後はそのホコリが洗浄液で流れてキレイになっていました。
送風ファン・吹き出し口・上下ルーバーの汚れ比較
掃除前後で一番違いが分かりやすい場所です。吹き出し口や左右ルーバーには黒い斑点の汚れが目立ちましたが完全になくなっています。また、送風ファンの汚れの固まりも落とすことができています。送風ファンの内側にはまだ汚れが残っている部分もありましたが、根気強く掃除をしていくしかなさそうです。
自分でエアコンを掃除するときに注意すること
自分でエアコンを掃除するときに難しいのが送風ファンと熱交換器で特に汚れやすい部分でもあります。キレイに掃除したいと思ってやってしまいがちなNGポイントとその対策をご紹介します。
送風ファンの汚れを力を入れて落とす
送風ファンの汚れはひどく、汚れが固まりになっているため力を入れて掃除しがちですが注意が必要です。送風ファンのハネは風の抵抗を減らすために薄くなっていて力を入れすぎると割れたりヒビが入ったりすることがあります。割れたまま運転してしまうと破片が降ってくることも。最悪の場合はファンが高回転に耐え切れずに破壊してしまいます。ファンの汚れは、力をかけずに掃除しましょう。力がかかるのが心配な方にはファン専用の掃除道具がオススメです。
市販のエアコン洗浄スプレーを使う
本記事でもエアコン洗浄スプレーを使用して熱交換器を洗浄しましたが、市販のエアコン洗浄スプレーはエアコンの製造メーカーから推奨されていません。主な理由は次の2つです。
- 洗浄スプレーの液残りがフィンに目詰まりする
- 洗浄スプレーの成分がフィンの親水性コーティングに影響する
洗浄スプレーの液残りがフィンに目詰まりする
洗浄スプレー後は、熱交換器を水で流すわけではないため洗浄液がフィンの間に残ってしまうことがあります。洗浄液が残るとその部分はふさがってしまい、ホコリで目詰まりしたのと同じようになります。その影響で、エアコンの効きが悪くなったり、エアコンから水垂れや水飛びが発生する原因になってしまいます。
窓を開けっぱなしにして冷房を設定温度を最低(16℃くらい)にして20分程度運転しましょう。冷房で発生した水で洗浄液を流すことができます。
洗浄スプレーの成分がフィンの親水性コーティングに影響する
熱交換器フィンには、親水性コーティングがされていて熱交換器の水がドレンパンに排水される構成になっています。エアコン洗浄スプレーの成分に防カビや防サビなどのコーティング剤が入っていると、親水性コーティングがうまく機能せずに熱交換器の水がエアコンの吹き出し口から飛んだり垂れたりする原因になってしまいます。
親水性被膜を傷めない洗浄スプレーを選びましょう。アルミフィンに優しい洗浄スプレーをいくつかご紹介します。
\ 厳選!フィンに優しい洗浄スプレー /
高圧洗浄機で熱交換器を掃除する
エアコンクリーニングの経験がない方や研修を受けていない方が高圧洗浄機を使って掃除するのはやめましょう。主な理由は次の3つです。
- 高圧洗浄機の水圧でフィンが潰れる
- 高圧洗浄機の水圧でフィンのコーティングがはがれる
- 高圧洗浄機の水分が電装部にかかってエアコンが故障する
高圧洗浄機の水圧でフィンが潰れる
熱交換器は、厚み0.1mmのアルミのフィンが約500枚並んでできていているとてもデリケートな部品です。アルミフィンはやわらかく、高圧洗浄機を噴射した勢いで簡単にフィンが潰れてしまいます。フィンが潰れると空気を取り込めずエアコンが十分な性能を発揮できなくなったり、フィンが目詰まりしたのと同じ状態になりエアコンからの水飛びや水垂れの原因になります。
高圧洗浄機の水圧でフィンのコーティングがはがれる
高圧洗浄によってフィンに施されているコーティングがはがれてしまうと、熱交換器の水がドレンパンにうまく排水されずにエアコンからの水飛びや水垂れの原因になります。
高圧洗浄機の水分が電装部にかかってエアコンが故障する
高圧洗浄機の水分が電装部品にかかってしまうとエアコンが故障する原因になります。電子基板だけではなく、配線やモーターなども同じです。どこに配置されているか分からない場合は養生ができないので大変危険です。
高圧洗浄機などで熱交換器やファンをしっかりと掃除をしたい場合は、業者に依頼してエアコンクリーニングのプロにお任せしましょう。
自分でエアコンの掃除をするメリットとデメリットは?
自分でエアコンの掃除をすることの主なメリットとデメリットを解説します。
自分でエアコンを掃除するメリット
- エアコンクリーニング業者に依頼するより安く掃除ができる。
- 自分で納得がいくまで掃除をすることができる。
- 定期的に自分で掃除することでエアコンの性能低下を防ぎムダな電気代を減らすことができる。
- フィルターや熱交換器、送風ファンの目詰まりによる水垂れなどの不具合を防ぐことができる。
自分でエアコンを掃除するデメリット
- 掃除をするのが面倒
- 掃除ができない部分があるため、エアコンから送風される空気も完全にはキレイにならない。
- 見えない汚れがひどくなっても気付きにくい。※自分で掃除できない部分の方が汚れがひどくなりやすい。
- エアコンが壊れたり思わぬ不具合が発生する可能性がある。エアコンクリーニング業者は賠償責任保険に加入しているため、万が一エアコンクリーニングが原因でエアコンが壊れても補償が受けられます。
自分でさらにエアコンを分解して洗浄したいという方はこちらの記事もあわせてご覧ください
\ もっと自分でキレイにしたい /
エアコンの中をキレイに保つためには?
簡単とはいえ、掃除の回数は減らしたいですよね。
エアコン内部にカビが発生するのを防ぎキレイを保つためには、冷房運転後にエアコンの中を乾燥させることがとても効果的です。具体的には、冷房運転後に1時間程度の送風運転を行います。風を送ることで熱交換器に残った水を流し、乾燥させることでカビの発生を抑制することができます。
送風運転よりもさらに効果的なのは暖房による乾燥です。ただし、夏の暑い日の暖房は注意が必要。暖房による熱中症の危険があるので、暖房による乾燥は人がいない時に行いましょう。
冷房運転後のエアコンの中はキンキンに冷やされたグラスのような状態になっています。エアコンを停止して部屋の暖かく湿った空気が室内機に入ってくると、エアコンの中の冷やされた空気と混ざり、結露してフィルターを通り抜けた細かいホコリが付着します。熱交換器にはフィンに排水されなかった水が残っているため湿度が高く保たれ、エアコンの中は付着したホコリを養分としてカビが生育しやすい環境になるのでカビが生えてしまうのです。
エアコンクリーニングを業者に依頼するとどこまで掃除してくれるの?
今回は自分でできるエアコンの掃除方法を実践解説してきました。掃除前後の画像比較をみると見違えるほどキレイになりましたね。
では、自分で掃除できる部分とエアコンクリーニングを業者に依頼したときに掃除をしてくれる部分ではどれだけ違うのでしょうか?分解図を使って違いを見てみましょう。
自分でも掃除ができるところを黄色、業者に依頼すると掃除ができるところを赤色で塗ってあります。また、特に汚れがひどくなりやすい部分には注意マークをつけてあります。
本記事では、エアコンの次の部分を自分で掃除しました。汚れがひどくなりやすい送風ファンと熱交換器も自分で掃除できました。しかし、掃除できるのはあくまで見える部分だけ!送風ファンをエアコンから取り外さずに完全にキレイにすることはとても難しいでしょう。熱交換器についてもエアコンを分解しないと前面側の掃除しかできません。
自分で掃除できるところ | 業者に依頼すると掃除できるところ | 汚れ具合 |
---|---|---|
前面パネル | 前面パネル | – |
フィルター | フィルター | – |
上下ルーバー | 上下ルーバー | – |
左右ルーバー | 左右ルーバー | – |
本体カバー(見えるところ) | 本体カバー(まるごと) | – |
熱交換器(前面側) | 熱交換器(まるごと) | 汚れがひどい |
送風ファン(一部) | 送風ファン(まるごと) | 汚れがひどい |
– | ドレンパン | 汚れがひどい |
– | 通風路 | 汚れがひどい |
特に汚れがひどくなりやすい部分はなぜ掃除しにくいの?
特に汚れがひどい部分と自分で掃除ができない理由を解説します。
汚れがひどい部分 | 自分で掃除できない理由 |
---|---|
送風ファン | 先端の汚れはある程度落とせますが、内側まで届きにくく完全に汚れを取り切るのは難しい。 |
通風路 | 吹き出し口周辺は掃除できますが奥の方は掃除できていません。 奥の方は熱交換器に近く冷やされますので結露しやすく汚れやカビが付きやすい場所です。 |
ドレンパン | 分解しないと見えないので個人では掃除ができません。 水が介在する場所なので、汚れやカビが付きやすいです。 |
熱交換器 | 市販の洗浄スプレーでは奥側の熱交換器に届かないので掃除ができません。 |
自分では掃除できない汚れがひどい部分についてはエアコンクリーニング業者に掃除を依頼することをオススメします。
プロの業者にエアコンクリーニングを依頼するには?
エアコンクリーニングをプロの業者に依頼すれば、個人では掃除することができない汚れもキレイにすることができます。
プロの業者にエアコンクリーニングを依頼する方法については次の記事をご覧ください。
まとめ
本記事では、自分でエアコンを簡単に掃除する方法をご紹介しました。
自分で掃除ができる範囲は限られていますが、定期的に行うことでメリットもあります。
- エアコンの性能低下を防ぎムダな電気代を減らすことができる。
- フィルターや熱交換器、送風ファンの目詰まりによる水垂れなどの不具合を防ぐことができる。
それでもエアコンからのイヤな臭いが取れない、自分では掃除できない部分の汚れがひどくなったと感じたらプロのエアコンクリーニング業者に依頼することをオススメします。
エアコンをキレイにして家族で過ごす空気を健やかで快適にしましょう。
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